日本人なのにトランプ大統領が好きすぎて「不正選挙だ」と叫ぶ人たちの動機を想像してみる

2020年11月30日(月) 23:18 | 日記

トランプ大統領の周辺が敗北を認める発言をするようになり、ようやく下火になってきた感じはありますが、一時期はTwitterもYahoo!ニュースのコメント欄も本当にすごかったですね。
どちらがアメリカの大統領に選ばれようと、日本人だから自分の暮らしと直接関係ないのに、なぜあんなにトランプに執着するのか。まっとうな人なら誰が見ても荒唐無稽な「不正選挙だ」という必死のアピールを、なんでこんなことをやってるのかと不思議に思っていた人も多いと思います。僕も不思議です。

なぜトランプに執着する日本人がいるのか、自分なりに理由を考えてみました。

1. バイデン氏を支持している人たちが大嫌い

これがいちばん多いんじゃないかと思います。日本の政党で言うと立憲民主党や共産党がトランプのやり方を強く批判し、バイデン氏を支持していると信じているので(実際は自民党の姿勢とそこまで違いはないと思います)、「敵の敵は味方」の論理でトランプを支持する人たちです。

2. トランプ=親日・反中、バイデン氏=反日・親中だと本気で信じている

確かにトランプは拉致被害者に言及したり、中国に対しては対立する姿勢を強く打ち出したりしていますが、いろいろ見たり聞いたりしている限りだと、バイデン氏も中国への態度は基本的にトランプとたいして変わらないようですね。
最近、仕事で右寄りの某エコノミストに取材する機会があったのですが、香港やウイグルの人権問題に関してはバイデン氏はトランプ以上に強硬な態度でのぞむのではないかとも言っていました。

心配は杞憂に終わると思います。それどころか、手のひらを返してバイデン氏の礼賛までありそう。

3. トランプへの支持をアピールすることによる、ポリコレや反差別を主張する人たちへの嫌がらせ

トランプやジュリアーニ元ニューヨーク市長が主張していた「不正選挙」は、まともな根拠が一切示されず妄想にすぎないと、アメリカの右派メディアさえもずいぶん前から指摘していたけれど、むしろトランプの訴えが嘘や理不尽であればあるほど、「それでもトランプを支持する」という意志は、強いメッセージとして力を持つのかもしれません。

デマを根拠にしてまでトランプを熱烈に支持する人の多くは、トランプを「反ポリコレ・反反差別」の象徴だとみなしており、そうした態度を世界最強の国家の元首自らが示していることを、支持者たちは自身の「正しさ」(その中身はただの醜悪な差別心)の拠り所としているように見えます。トランプへの支持の表明そのものが集団的な示威行為かつ自慰行為として、ひとつの目的になっているというわけです。
つまり、「ポリコレや反差別を憎む人は世の中にこれだけいるぞ」とアピールして、僕らのような差別に反対する立場の人たちにプレッシャーを与えたいという思いと、そういう人たち同士でおたがいの承認欲求を満たし合いたいという思いがあるんでしょうね。はっきり言っちゃうと、実におぞましい光景です。

総理大臣の菅義偉がバイデン氏と電話会談をしたり、首相官邸ホームページでバイデン氏を「バイデン次期大統領」と表記したりするのを見て「失望した」とコメントするとか、極右文化人がトランプの荒唐無稽な発言を「荒唐無稽だ」と言ったら罵声のようなコメントを浴びせるとか、最も振り切れちゃってるのがこの人たちです。

そこまでしてポリティカルにインコレクトな発言や行動をしたくてたまらない人は、それだけでろくでもない人間だと断言できますが、本人たちも好きで「ろくでもない人間」になったわけではないので、そう思うと少しだけかわいそうな気持ちになります。だからといって、どんな事情があろうと差別表現で人を傷つけることが許されるはずがないので、決して容赦はしませんが。

4. 「目に見えない力が存在する世界」であってほしいという願望

不思議だなぁと思ったのが、トランプの陰謀論を真に受ける人が極右だけでなく、極左寄りの人たちの中にもいたことです。
これはどう説明したらいいものかと思案したところ、これってスピリチュアル系、もっと言えばニセ科学やニセ医学を信じたがる心理と共通しているのではないかという仮説を思いつきました。

アメリカ大統領選挙の結果は、各州の政府によって厳密に運営されているから、そこには疑いをはさむ余地はない。そういう風潮に、ある種の息苦しさを感じたのかもしれません。陰謀論者が言うような、投票システムを運営するドミニオン社が全米レベルで不正を行っていて、実はトランプの方が得票数が多かったという結果が出たら、その光景を見て安心するような人なんでしょうね。

世間では新型コロナウイルスという理不尽な感染症が猛威をふるっている最中で、感染症の専門家たちは口をそろえて「マスクと手洗いが大切です」「不要不急の外出は避けましょう」「今のところ特効薬はありません」と言うばかりで、それが医学的には正しいんだけど、希望も何もありません。
その閉塞感が、一発逆転を求めてスピリチュアル系に飛びつく要因になったりするんでしょうけど、トランプの陰謀論もそこに組み込まれてしまったのかもしれません。科学や常識を超える「何か」がこの世界に存在してほしい、という願望。

かつてのオウム真理教を思い出させる「信者」たち

いずれにしても、遠く海を越えて、少なからぬ日本人の心を動かしたトランプという人間のすごさを思い知りました。「狂った超大国のトップ」が存在するだけでいろんな人を勇気づけてしまうし、そのカリスマが選挙で敗れて醜態をさらすほど、その醜態の中にこそ(自分にとって都合がいい)意味を見出そうとする姿は、かつてオウム真理教が珍妙なパフォーマンスで信者を増やしていったことを思い出させます。
いろいろと考えさせられるできごとでした。

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