F1日本グランプリの事故
2014年10月 6日(月) 01:37 | スポーツ
何が起きたのかわかりませんでした。実況席にも情報が入っていなかったので、視聴者が分かるはずがありません。
こちらはフジテレビNEXTの生放送の映像(国際映像なので、全世界に同じ映像が流れています)。スーティルの単独クラッシュのあと、クレーン車で壊れたマシンを撤去しようとしているように見えますが、このときすでにビアンキのマシンがクレーン車に衝突していたようです。マーシャルの人たちが、何かを知らせるように両手を挙げています。
この時点では、実況でもビアンキのビの字も出ることなく、解説の川井さんは「暗くなるからもうセーフティカーは出ないだろう」と話していました。スーティルの事故の瞬間は映像でも流れましたが、確かにレースを止めなければならないほど深刻なものではありませんでした。
ところが、この直後にセーフティカーが出ました。メディカルカーもいっしょに走っていくという明らかな異常事態でしたが、実況席はそのことに少し触れただけで、関心はすぐに「誰がピットインしてタイヤ交換をするのか」に移りました。
上の画面が出てから2分24秒後、再び事故現場が映し出されたときにはすでにメディカルカーが到着していました。そのときも解説の今宮さんが状況をちらっと説明しただけ。2分以上前の段階ですでにクレーンにつり上げられていたスーティルのマシンが運び出されていないのは、よく考えたらおかしいのですが、誰もそこには突っ込みません。
さらに1分44秒後、突然マルシャのピットの様子が映し出されました。視聴者もF1公式サイトのライブタイミングなどでビアンキがリタイアしていたことは知っていたと思うので、このあたりで何かおかしいことに気づいた人は多いと思います。
その直後、三たび映し出された事故現場。実況席からはようやく、スーティルのマシンが撤去されないことへの疑問が呈されましたが、解説の川井さんは「マシンが電気的に危険な状態なのかもしれない」と、あくまで原因はスーティルとそのマシンにあるような言い方をしていました。
この時点で事故から5分近く経っていましたが、ビアンキの情報は放送席にもまるっきり伝わっていなかったようです。
テレビに映るのは4度めとなる事故現場。あとで見返してみたら、クレーン車の左側にマルシャのマシンのウイングを持ったマーシャルの姿を見つけました。中継では一瞬しか映らなかったので、リアルタイムでは気づきませんでした。
画面ではスーティルのマシンとクレーン車、メディカルカーくらいしか見えないのに、なぜかビアンキの名前。FIAが字幕を間違えたのかと思ったのですが、間違いではありませんでした。
このあとレースはセーフティカー先導で進み、その間も中継では深刻な顔をするマルシャのスタッフが何度か映されました。
46周めに赤旗が出され、日没が近いこともありレースは終了。ここに来てようやく、実況席が「ビアンキもリタイアしたけど何も情報が届いていない」ということに触れます。
10分前の大事故の情報が実況席に伝わってないなんて、長いことF1を見てきたけど初めてです。
事故から時間が経ち、現場の写真がニュースサイトに次々とアップされています。ドライバーを守るロールバーが吹っ飛んだマシン。一歩間違えたら、本当にたいへんなことになっていました。
ビアンキが手術を終えて集中治療室に移ったこと、意識は戻らないものの自力で呼吸していることが伝えられていますが、まだ安心できません。20年前のイモラでのラッツェンバーガーとセナ、11年前に同じ鈴鹿で帰らぬ人となった加藤大治郎のような姿は二度と見たくないので、ビアンキが元気な姿で戻ってくることを願います。