7万円の副業で6か月停職、40万円の副業で3か月停職

2013年8月 7日(水) 22:47 | 日記

同性愛者向けAV出演の消防士2人を処分 大阪

大阪府四條畷市は6日、アダルトビデオに出演して現金を受け取ったとして、田原分署の男性消防士(20)と消防本部警備課の男性消防士(20)を、地方公務員法(営利企業等の従事制限など)に基づき停職6カ月の懲戒処分にした。

市によると、2人は昨年8月、神戸市の須磨海水浴場で、見知らぬ男から「いい体をしている」「女性との性行為を撮らせてもらえないか」と声をかけられ、近くのマンションでアダルトビデオの撮影に出演。今年3月までに同性愛者向けのDVDなどにそれぞれ計2~3回出演し、計7万円を受け取ったという。

2人は「何度も断ったが何度も誘ってきた。一般に出回ることはないと言われ、安心して行ってしまった」と説明しているという。7月26日に告発文とDVDのコピーなどが消防本部に郵送されて発覚した。

(2013年8月7日 朝日新聞デジタル ※強調は筆者)

「女性との性行為」と言われて出てみたら実は同性愛向けのAVだった、というお話。別の記事によると、一度出演したことで「ばらすぞ」と脅されながら2回め、3回めの出演に至ったそうですが、一度でも甘い誘いに乗ってしまったのが間違いでしたね。
それはともかく、気になったのが「停職6か月」という重い処分。これがAVの制作会社のスタッフとして制作から流通、販売までがっつり関わっていたのならともかく、演者として2回か3回出ただけで、もらったギャラがふたり合わせて7万円程度にしては、この処分はいくらなんでも重すぎる気がします。元AV男優のマグナム北斗さんがギャラの安さに驚いていたくらいですし。

気になったので、これとは別の「公務員が副業で懲戒処分を受けたニュース」を調べてみました。

「子供の受験代稼ぐため…」大阪市職員が深夜パチンコ店で清掃バイト 停職3カ月

パチンコ店で夜間に清掃のアルバイトをしたとして、大阪市は28日、環境局西部環境事業センターの男性技能職員(43)を停職3カ月の懲戒処分とした。

大阪市によると、職員は平成23年4月~24年4月、市内の自宅近くのパチンコ店で、午後11時から約1時間の清掃作業を週4~5回行い、計39万6千円の報酬を得たという。市の聴取に対し、職員は「子供の受験代などを稼ぐためにアルバイトをした」と話しているという。

(2013年3月29日 MSN産経west ※強調は筆者)

1年間も副業を続けて40万近い収入があった市職員が、2回か3回AVに出ただけで7万円しかもらってない消防士より軽い停職3か月ですか。
おかしいですねえ。どっちがより悪質か、小学生でもわかりそうなものなのに。

まさかそんなことはあるはずがないと思うのですが、「同じ地方公務員法違反でもビルの清掃はいい副業で、アダルトビデオは悪い副業だから罰則が重い」なんて考えはないですよね? そんなカースト制度みたいな差別的な待遇が、人権人道担当大使の上田さんが「世界一の人権先進国」と持ち上げていた日本であるわけないですよね? ね?

考えられる可能性としては、消防士が出演したAVの制作会社が反社会的勢力とダイレクトにつながっていた、みたいな話でしょうかね。そういう事情でもない限り、この待遇の差はとても許されるべき話ではありません。

ところで、記憶に新しいところでこんな事件もありました。

29歳女性高校教師 性風俗アルバイト…6カ月の停職

大阪府教育委員会は2日、勤務時間外に性風俗店で働いていたとして、府立高の女性教諭(29)を停職6カ月の懲戒処分とした。教諭は“アルバイト”収入を借金の返済に充てていた。「風俗は特定の客とだけ接すればよく、多くの人に顔を見られずに済むと思った」などと話している。「教員を名乗る資格はない」と同日付で依願退職した
府教委によると、教諭は2012年10月下旬~13年4月上旬、平日の放課後や休日に大阪市内のホテルヘルス店で計105日間働き、約160万円の収入を得ていた。平均すれば、1日当たり、約1万5000円を稼いでいたことになる。

(中略)

地方公務員法は原則、営利目的の副業を禁止。発覚した場合、府が定める教員の懲戒に関する条例では戒告や減給処分が基準とされているが、府教委は「著しく不適切で、信用を大きく失墜させた」と判断し、基準を上回る停職処分とした。府教委の中野伸一教職員人事課長は「生徒や保護者、府民の理解を得られない行為で、非常に申し訳ない」と話している。

(2013年5月3日 スポニチAnnex ※強調は筆者)

105日間働いて160万円の収入ですから、それなりに重い処分も妥当なのかもしれませんが、記事の後半に見逃せない記述があります。府教委の「著しく不適切で、信用を大きく失墜させた」というコメント。別の記事を見ると、府教委は「前代未聞の不祥事だ」とも語っていたようです。教師が副業で160万円を稼いだことが「著しく不適切」で「前代未聞の不祥事」なのか、あるいは副業の中身が風俗業だったことを「著しく不適切」で「前代未聞の不祥事」と言っているのか。前者と後者では意味合いが大きく変わってきます。
後者なら完全に職業蔑視であり、コメントを発した府教委の人間は「教育委員会」のメンバーなのにも関わらず人権意識がゼロという、いち教師がホテヘルでこっそりバイトをするのとは比べものにならないくらい「著しく不適切」な状況です。
記事の文脈を見ると明らかに後者ですね。しかも、そのことを理由に「基準を上回る停職処分」が下されたのなら、元教師が府教委を訴えてもいいレベルです。

もし、冒頭の消防士の記事を読んだときに「公務員がAVに出たんだから重い処分は妥当だ」と何の疑いもなく思ったとしたら、その考えを支えている「前提」を疑ってみることをおすすめします。たぶんその「前提」は、規範意識だと思っていたのが突き詰めると個人的な好みや性癖でしかなかったり、あるいはもっと露悪的に「AVに出てない自分がAVに出た人間を見下す」という優越感を得たいだけだったりするので、それを社会全体に当てはめようとすると、いろいろとおかしなことになるんじゃないかと思っています。

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