AKB48選抜総選挙で指原さんが1位になった意味

2013年6月12日(水) 02:28 | アイドル

指原さんが1位になったのを見て、最初に思った感想は「これでAKBの寿命が2年くらい延びたな」でした。

どぎついスキャンダルを暴露されて、一時はアイドル生命の危機かと思った指原さんが、前年1位の大島優子さんや、アイドル完璧超人の渡辺麻友さんより多くの票をファンから集めたという事実は、「涙のひとつも出ない」と語った優子さんのスピーチが象徴するように、AKB選抜総選挙の歴史を塗り替え、AKBを次のステージへと進化させました。
たとえるなら、優子さんが前田敦子さんとともに築き上げてきた塔をまゆゆや松井珠理奈さんが必死に登ろうとしている横で、指原さんがもうひとつ別の塔をおっ立てて、ひとりで頂上に登ったようなもの。古い塔は、嫌な言い方をすると保守的な男性アイドルファンに媚びる道。指原さんが作った新しい塔は、スキャンダルをも糧にしながら、旧来のファンに媚びることなく新たなファン層を獲得していく道だといえます。
僕も指原さん1位という結果と、今後起きるであろう変化を歓迎します。古い塔の頂上を目指すゆえにメンバーが犠牲にするもの、心をすり減らすことが、「新しい塔に登ってもいい」というファンの同意によって軽減されるのなら、メンバーやスタッフにとってもいいことだし、ひいては古い塔に固執せず、新しい塔を目指すアイドルを楽しめるファンにとってもいいことだと思います。
アイドル界の最大勢力であるAKB48でこうした多様性が受け入れられたという事実は、他のアイドルにもいい影響を与えたと思いますし、逆に多様性とは対極の画一性を極めることでAKBとの差別化を図り、「スキャンダルまみれのメンバーが総選挙1位」という現実を受け入れられない人を取り込もうとするアイドルも現れるかもしれません。

思えばPerfumeやももいろクローバーZは、ファンに媚びずに活動の幅をどんどん広げて、一部のファンを切り捨ててでも新しいファンを獲得する道を選んだことで、今の地位を築いてきました。
変化を受け入れるファンは、変化を受け入れないファンより長く応援してくれます。年齢を重ねることは「劣化」ではなく「成長」ととらえます。男性ミュージシャンやプロレスラーとのコラボも「メンバー以外の人間をステージで見たくない」ではなく、「メンバーの新しい一面が見られるからおもしろい」と好意的に受け止めます。何より、変化を受け入れるファンが多い方が、メンバーは窮屈な思いをすることなく生き生きと活動できます。
Perfumeには過去にスキャンダラスな報道もありましたが、それで人気が大きく落ち込むことはありませんでした。保守的なアイドルファンが求めるような「自らの理想としての女性性を体現する姿」より、Perfume自身のキャラクターや音楽、テレビやライブでのふるまいなど、演者としてのパフォーマンスがファンに支持されているからです。

指原さんが1位となったことで、総選挙には感動を、アイドルには不断の努力と媚びた笑顔、そして一分の隙も許さない潔癖さを求めるような、熱心だけど厄介なファンは去るかもしれません。しかし、得るものはそれ以上に多いと思います。今回の総選挙になんとなく投票したライトなファンに「AKBっておもしろいじゃん」と思ってもらえれば、それは「変化を受け入れるファン」という、AKBにとっていちばん大切なお客さんとなります。
今回の総選挙の結果は、図らずも「変化を受け入れないファン」の呪縛から抜け出す絶好の機会となりました。これまでにも指原さんのスキャンダルへの対応、柏木さんに関する報道の完全無視といった「変化への伏線」があり、峯岸さんの事件ではAKBのあり方、アイドルのあり方そのものが厳しく問われた中で、いろいろな意味で「変化」の象徴である指原さんがファンに選ばれたことで、ひとつの答えが出されたわけです。

たぶん、AKBはこれまで以上にアグレッシブにいろんな仕掛けを打ってくると思います。それがすべて成功するとは思えないし、大きすぎる存在なだけにうまくやらないと軋轢を生みますが、それすらもネタにして、みんなで楽しめばいいじゃんという空気がグループの内外で醸成されたら、AKBは今よりもっと強いグループになります。
ただ、重大な問題があります。ファンが求める「変化」の水準に、運営が応えられるのかということ。今年のリクエストアワーの内容がファンに酷評されたのは、その時点での運営の限界を露呈してしまったように見えます。これからのAKBのファンは、これまでと同じことをしていては飽きてしまいますし、中途半端な仕掛けでは満足しません。ももクロの川上マネージャーのようなパワフルな人を運営に迎え入れて、新しいファンの期待に応えられるようなアイディアを打ち出してほしいところです。

変化を受け入れるファンを味方につけたAKBは、きっととてつもなく強い。寿命は2年どころか5年くらい延びるかもしれません。篠田さんは卒業してしまいますが、小嶋陽菜さんは30歳になってもAKBを続けていてほしいと個人的に思うし、新しいファンも小じわが増えた小嶋さんをアイドルとして支え続けてくれるんじゃないかと思います。

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