祝春一番2013の思い出

2013年5月16日(木) 19:18 | フォーク

春一番
もう10日以上前の話ですが、あらためて「祝春一番2013」を振り返りたいと思います。

春一番は1971年に大阪で始まった野外コンサートで、1979年の開催を最後にいったん休止しましたが、1995年以降は毎年、5月の連休に開催されています。関西フォークの人脈で始まったコンサートなので、出演者の多くが40年選手ですが、彼らに影響を受けた30〜40代のミュージシャンや、関西フォーク世代から見れば子供の世代である20代の若手も出演しています(実際に親子で出演した方もいました)。
5月3日から6日の4日間開催されたうち、僕が見に行ったのは4日と5日の2日間。2日合わせて16時間ものライブを楽しみました。

●5月4日(2日め)

・開演15分前の10時45分に服部緑地に着いたら、今まで見たことのないような長い行列ができていました。どうにか開演直後に会場入りして、前の方の席に座れたのですが、会場はすぐに満席になり、プロデューサーの福岡風太さんが壇上から「席を空けてください」と呼びかけていました。こんな大盛況の春一は初めて見ました。みんな誰が目当てだったんだろ。

・あまり知らないミュージシャンや、初めて見る方も多かったのですが、ほぼ全員に共通しているのは楽器の演奏がうまいこと。楽器については素人なので詳しいことは語れませんが、ギターやベースの音とか手の動きがみんなすごい。これこそプロフェッショナル。

・横浜から来たきわわというバンド。メンバーの小野一穂さんは、この日のトリを飾った友部正人さんのお子さんなんですね。終演後も客席で他のステージを見たり、お客さんと話したりしている姿を見ました。

・アチャコ&フレンズのアチャコさんが、花菱アチャコさんのお孫さんということも初めて知りました。ステージを見たのは3回めです。いつものような飄々とした姿で、原発廃絶や、尖閣諸島や竹島をめぐる争いのバカらしさを歌っていました。争いと憎しみを生み出したくて仕方がない市長を選ぶような大阪ではなく、「みんな仲良くすればええやん」という大阪が好きです。

・そんな思いをはっきりと言葉にして話したのがおくむらひでまろさん。争いごとがなくならない世の中に対して、争わないこと、仲良くすることの大切さを伝えていくのが春一番の意義だという意味のことを話していました。少し前に某都知事がトルコを侮辱したことを受けて「イスラムの皆さんごめんなさい」的なことも言いました。東京都民として恥ずかしいですわまじで。
福岡風太さんはさらに踏み込んで、春一の出演者に在日のミュージシャンが多いことに触れていました。「音楽に国境はない」というきれいごとではなく、出自の違いによって生じるいろんな困難を現実として受け止めながら、ともに乗り越えていこうという意志を感じました。
これまでの7年間で僕が春一を見に行った中では、レイシズムを拒否する意志をここまで具体的に語ったことはなかったので驚いたのとともに、世の中全体で「差別のカジュアル化」が進んだせいで、ここまではっきり言わないと分からないような人間が増えてきたってことなんだろうなぁって思って、なんともいえない気持ちになりました。

・加川良さんが最初に歌ったのは、泉谷しげるさんの「春夏秋冬」。その次に歌った「下宿屋」は、僕が「BSフォークソング大全集」というテレビで初めて加川良さんを見たときに歌っていた曲です。最後に歌ったのはなんとブルーハーツの「青空」。歌詞が今年の春一番の雰囲気に合っていました。すばらしい選曲です。

・李知承さん、在日の現実を語る重たい歌を歌いました。メッセージを伝える手段としての音楽の力を感じます。

・三宅伸治さんは、中村耕一さんとともに出演しました。いろいろあって長いこと活動を休止していた中村さん、いろいろあったとは思えないほどの圧倒的な声。ブレイクしたのは90年代ですが、世代的には関西フォーク勢と変わらないんですよね。すごい。
三宅さんの人気ぶりに、春一では異例のアンコールになったのですが、拍手の中出てきたのは、この日出番のない宮里ひろしさん。なぜかギターまで持って。ひと笑い取って、すぐに引っ込んでしまいました。

・URCレコードをリスペクトする曽我部恵一さん。最初に歌ったサニーデイ・サービスの「恋におちたら」って、もう20年近く前の曲なんですね。

・石田長生さんは西岡恭蔵さんの「アフリカの月」を歌い、後半では三宅伸治さんも加わりました。

・木村充揮さんは、今回も客席からの野次に絶妙な切り返しをして観客を沸かせていました。昔何かのCMで流れていた憂歌団の「胸が痛い」は初めて見ました。あの独特の歌声と雰囲気に、思わず聞き入ってしまいます。

・トリは友部正人さん。きわわが演奏する「こわれてしまった一日」や、三宅伸治さんとともに歌った「僕は君を探しに来たんだ」など、好きな曲が聞けてうれしかった。

●5月5日(3日め)

・朝は前日と同じくらいの時間帯に公園に着いたのですが、開演を待つ列は前日の半分くらい。客席も半分くらいしか埋まりませんでした。前日との差は何なんだろう。

・福岡風太さんが興味深いことを話していました。「出演者が楽屋で即興でバンドを組むからPAがたいへん」。出演者同士でのセッションも春一番の楽しみです。

・春一番を裏で支えたあべのぼるさんが亡くなったときに、葬儀などの世話をしたという青?林さん。今回の春一番のテーマに「死」というのがあって、去年は憂歌団の島田和夫さんが亡くなりました。僧侶の青?さんは、命のつながりについて、説法と歌を通じてメッセージを伝えました。

・去年に続いて、桜川唯丸一座の江州音頭に圧倒されました。ダンスチームの全力でノンストップのダンスも見ものです。

・大昔の春一で歌われて、僕も好きなダッチャの「26号線」という曲を、エルキュール上野アフターアワーズSHOWが演奏しました。こういう曲を歌い継いでいくことも大切だと思います。

・ソウル・フラワー・ユニオンの中川敬さんは「新人フォークシンガーの中川敬です」と言ってひとりで出演。リクオさんとのコラボもありました。

・今年もナオユキさんのネタで笑いました。観客の拍手も年々増えているような気がします。元ダックスープのピン芸人。東京にいるとなかなか見られないので貴重です。

・夕凪というバンドが、恭蔵さんが作った春一番のテーマソング「春一番」を歌いました。やっぱりいい曲です。

・大塚まさじさんは月夜のカルテットとともに出演。島田和夫さんのいないドラムセットをバックに、「プカプカ」や「男らしいってわかるかい」というおなじみの曲を歌いました。

・DEEP COUNTというバンド。この日は出番のないAZUMIさんもギターに加わりました。5拍子の曲がかっこよかった。

・この日のトリはなんと小谷美紗子さん。曲も大好きですが、ピアノのペダルを裸足で踏むところや、歌い終えたあとの満面の笑みも好き。最後は当初の予定にはなかった曲ということで、ずいぶん前にワンマンライブで初めて聞いたAZUMIさんの「ホワイトソング」を、AZUMIさん本人とともに歌いました。

今年も楽しい二日間でした。
春一番の風は決してノスタルジーではなく、たぶん今の世の中にこそ必要で、東京にも率先してまき散らしていくべきだと、今年は特に強く感じました。

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