友部正人さんと小谷美紗子さんのライブ

2011年5月20日(金) 01:34 | 音楽

友部正人さんと小谷美紗子さんのCD
今さら1週間前の話で申し訳ないのですが、どうしても記録に残したいので、書かせていただきます。
5月12日のこと。友部正人さんと小谷美紗子さんのライブを見に、南青山マンダラという店に行ってきました。

小谷さんはこれまで「春一番」や「ボロフェスタ」で何回か見たことがあって、おととしには渋谷のクラブクアトロへ「小谷美紗子trio」のワンマンライブを見に行きました。僕の好きなミュージシャンのひとりです。
友部さんも僕の好きなミュージシャンのひとりです。学生のころから友部さんの歌をずっと聴いてきて、ライブで歌う姿も何回か見ているのですが、ワンマンは一度も見ていません。今回も対バン(バンドではないですが)だったので、今度はソロライブを見てみたいです。
そんな友部さんと小谷さんのライブということで、ずっと前から楽しみにしていたわけですが、その一方で「なぜこのふたりの組み合わせなのか」という疑問がありました。大阪の春一番にはふたりとも毎年のように参加していて、おたがい面識はあるんでしょうけど、いっしょにライブをするというのは意外でした。そもそも、小谷さんが春一に出ている理由も知りませんでした。京都府出身だから、春一のスタッフと何らかのつながりがあったんだろうな、というくらいにしか思っていませんでした。

小谷さんは僕と同学年。友部さんとは親子ほど年が離れています。客層は僕と同じくらいの年代が多くて、それより若い人もいました。友部さんと同じ世代の人はわずかでした。
午後7時40分。まずは小谷美紗子さんがステージに現れ、無言でピアノの前に座りました。この日はバンドではなく、ひとりで弾き語り。1曲めは「街灯の下で」で、2曲めは僕が小谷さんを知るきっかけになった「The Stone」。重たい言葉のラブソングのあとは、「自分」「Gnu」と僕の好きな曲が続きました。20歳の小谷さんが、とがった言葉で突きつけるメッセージ。僕の前に座っていたお客さんは、「自分」という曲で泣いてしまったそうです。

僕が気になっていた、友部さんと小谷さんの関係。ふたりを結びつけたエピソードについて、小谷さん自身が語りました。
もともと、小谷さんは友部さんのファンだったそうです。デビュー前、小谷さんが高校生だったときに、小谷さんに友部さんを紹介したのが、あべのぼるさんという人でした。
小谷さんは、友部さんとの初対面のときに目の前で歌を歌ったそうで、ものすごく緊張したと話していました。そのあとで登場した友部さんは「小谷さんはぜんぜん緊張していなかった」と言っていましたが。
1996年に小谷さんはシンガーソングライターとしてデビューしましたが、小谷さんをレコード会社に紹介するなど、デビューのきっかけを作ったのもあべさんでした。
その後、春一番のステージでも友部さんとセッションをしたことがあるそうです。マンダラに集まったお客さんの中で、わざわざ春一を見に大阪へ行ったことがある人は、どれくらいいたでしょうか。

先日の日記で「祝春一番2011」のことを書いたときに、触れなかったことがあります。
春一の主催者のひとりでもあった、あべのぼるさんが亡くなったことです。
たくさんの出演者が「あべちゃん」のことを語っていました。主催者の福岡風太さんは、「あべちゃん」の似顔絵が描かれたお面を後頭部につけていました。それだけ春一にとって重要なできごとでしたが、僕はこの方のことをほとんど知らなかったので、あえて日記では書きませんでした。
あべさんの印象といえば、曲の合間にいつも「入り口のとこで本物のええ歌が入ってるCDを売ってるから、よかったら買ってください」と言っていたこと。音楽を媒介にして得られる利益より、音楽そのものを大切にしている人だと思いました。
あべさんが小谷さんの歌を「本物」だと認めて、メジャーデビューへの橋渡しをしたこと。小谷さんと友部さんが同じステージに立ったこと。その事実だけで、あべのぼるさんの偉大さがわかりました。

あべのぼるさんが生前、小谷さんにぜひ歌ってほしいと言っていた曲。天国からのリクエストに応えた、早川義夫さんの「この世で一番キレイなもの」。早川さんが描く人間の繊細な愛情が小谷さんのイメージと重なって、心にしみました。
余談ですが、この曲が入った早川さんのアルバムを持っているのに、ウォークマンに入ってなかったことに気づき、さっそく入れました。

大震災のことも歌いました。人の命や心のつながりに思いをはせた曲でした。
最後は「手紙」という曲。2008年の春一や、おととしの渋谷のライブでも聴いた曲です。
最初から最後まで、みんなじっと座って歌とピアノに聴き入っていました。静寂の中に小谷さんの言葉が波紋のように広がっていく、そんな空間でした。

休憩をはさんで、友部正人さんが登場。いつもの弾き語りスタイル。還暦を過ぎているのにパワフルです。
新しめの曲と80年代の名曲を織り交ぜながら、ほとんどノンストップで歌いまくる友部さん。原発事故のことをシニカルに歌った曲や、初めて生で聴く「びっこのポーの最後」は迫力がありました。
このほか、知ってる曲では「愛について」「遠来」を歌いました。しんみりした気持ちになる曲です。

最後の1曲は、小谷さんとのセッションで「奇跡の果実」という曲。小谷さんが、自分の曲のとき以上に楽しそうに歌っていたのが印象的でした。

心に響く言葉を歌うふたりのミュージシャンによる、3時間におよぶ素敵なライブでした。今度は友部さんのワンマンライブも見てみたいと思いました。
ところで、店の隅の方に、ほかの観客とは明らかに違うオーラを放つ男性がいて、誰だろうと気になっていましたが、俳優の大杉漣さんだったようですね。友部さんは、世代を超えてたくさんの人に支持されています。

コメント

フォーキーさんこんにちは。

「アイドル」以外の分類の日記も少しずつ拝読しています。

こちらのフォーキーさん記事に関しまして・・・、
友部さんを慕うプロミュージシャンは多いですね。もう10年近く前になりますが、友部さんと鈴木祥子さんの対バン・・・というよりジョイントライブが、確か吉祥寺StarPine'sCafeであって僕も聴きに行った。鈴木さん自身が既にMusician's Musicianなので、友部さんは更にその上???
~~フォーキーさんが触れられている小谷美紗子さんのことを僕は詳しくないのですが、今度機会を見付けて聴いてみたいと思います。

あと曼荼羅グループは、出演者が観客と同じトイレを使っていたり(#2)、ステージ前に出演者(ムーンライダーズの何人か)が建物の外に出てボーとしていたり(#青山)、その緩さが気に入っています。
+++
今日はあのお天気アイドルのイベントにも行って来たのですが、本稿とは分類違いのコンテキストになると思いますので、ここでは自粛(?)しておきます。

これからも、内容たっぷりの日記を楽しみに読んで、たまにコメントも致します。では。

お読みいただいてありがとうございます。何年も前に書いた文章が日の目を見ることができてうれしいです。
友部さんが歌う姿は何度も見たことがありますが、友部さんの歌に出会うたびに「言葉に音を乗せて伝える力」の強さ、むき出しの言葉の迫力を感じさせられます。友部さんは本物のフォークシンガーだと思います。

スターパインズカフェといえば、以前にパスカルズというバンドのライブを見に行ったことがありまして、ライブ前にバンドマスターのロケット・マツさんが地下から外に出て行くところを見かけたことがあります。演者と観客の距離が近くて、でも観客は演者をリスペクトしている、おたがいにとって心地いい空間だと思います。
曼荼羅やスターパインズカフェのステージに立つ方は鈴木祥子さんもそうですが、昔から活動している渋いミュージシャンの方が多い印象です。小谷美紗子さんも同様に、同業者にファンが多い方だったりします。

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