椛の湖フォークジャンボリーを振り返る・後編

2009年8月 9日(日) 23:13 | フォーク

最後の中津川から6年後の、1977年に生まれました。
物心がついたときには、すでにフォークは「懐メロ」でした。
10代の終わりに、テレビの懐メロ番組では決して流れないフォークに触れてから、フォークが好きになりました。
フォークジャンボリーのライブ盤も学生のころに買いました。僕が知るフォークジャンボリーは、CDから聞こえる音がすべてでした。
2009年8月1日、38年ぶりのフォークジャンボリー。夢でしかなかったはずのステージが、僕の目の前にありました。

最初の演奏はアーリータイムスストリングスバンド。ここでものすごい大雨が降ってきました。僕は構わず、ステージの目の前の地べたに座りました。かっぱを着ていたので上半身は濡れずにすみましたが、靴は土まみれでびしょびしょ。そんな中、アーリーの皆さんは「僕の家」などを演奏。渡辺勝さんの美声が雨空に響きました。
メンバーでは、渡辺勝さんがはちみつぱいで、村上律さんが「アテンションプリーズ」の一員として71年のジャンボリーに出ているんですよね。

続いてはいとうたかおさん。土砂降りの中、新しい曲と古い曲を織り交ぜて数曲。最後はアーリーの皆さんを従えて「あしたはきっと」を歌いました。
YouTube - いとうたかお 高田渡 / あしたはきっと

この後、雨はいったん止みました。
2時半ごろからは茶木みやこさん。「一人の道」という曲を聴いたのは、1994年に「BSフォークソング大全集」を見て以来。懐かしい。
キーボードには柳田ヒロさん。当時のフォーク・ロック界の重要人物のひとりです。生で見るのは初めてでした。

次の中川五郎さんのところで、また大雨。年に一度あるかないかのすごい雨です。
かつてのジャンボリーでも歌った「腰まで泥まみれ」を歌うとき、ベトナム戦争の時代の懐メロではなく、今の時代にも通用してしまう、と五郎さんは言いました。あれから40年、ちっとも平和ではない世界に僕らは生きています。争いを憎む心は、僕もステージの上の皆さんと共有しているつもりです。
YouTube - 腰まで泥まみれ / 中川五郎

村上律さんのソロでは、70年のフォークジャンボリーでも歌ったアテンションプリーズの「南京豆」を演奏。まさか、この曲を生で聴けるとは。

次の「猫」も、生で見たのは初めてでした。「地下鉄に乗って」などの懐かしい曲や、新しい曲を演奏しました。
その猫のメンバーとともに歌ったのが、現在も「六文銭」で活動する四角佳子さん。かつてのジャンボリーでも六文銭の一員として、小室等さんや及川恒平とともにステージに立ちました。
驚いたのは、吉田拓郎さんとのデュエット曲「春の風が吹いていたら」を歌ったこと。この曲、新しいアルバムにも収録されているんですね。
屋台と地面
雨はやみましたが、地面は水びたし。歩くのもたいへんです。
ここでいったんサブステージへ。バラーズの皆さんを見に行きました。2曲だけでしたが、とても楽しめました。女性のハーモニーが好きということもありますが、何十年も人生を重ねてきたからこそ歌えることがあって、そういう言葉が若い僕の心に響くわけです。
歌い終えたあと、テレビのインタビューを受けていました。

メインステージに戻ると、大野真澄さんが歌っていました。ガロ時代のヒット曲「学生街の喫茶店」を歌いましたが、あの曲の作曲者は今や平和を冒涜し、暴力を推進する側の人間ですからねぇ。ちょっと複雑な気持ちになりました。

続いては早川義夫さんと佐久間正英さん。かつてのジャンボリーでも歌った、ジャックス時代の「堕天使ロック」「からっぽの世界」「ラブ・ジェネレーション」に、ソロ曲「サルビアの花」。佐久間さんのギターも絶品で、ジャックスの荒っぽいサウンドとは違った、円熟した音がたまりませんでした。
YouTube - からっぽの世界 / ジャックス

早川さんの次はあがた森魚さんでした。あがたさんを見るのは確か2006年の「ハイドパーク・ミュージック・フェスティバル」以来です。
「冬のサナトリウム」は曲中に「サルビアの花」が入るのですが、出番が早川さんの直後ということをあがたさんは知らず、とまどってしまったそうでした。71年のジャンボリーでも歌った「赤色エレジー」も聞かせてくれました。
YouTube - 赤色エレジー / あがた森魚

なぎら健壱さんは、まだ自身が高校生だった70年に飛び入りで歌った「一円玉」や、いとうたかおさんとともに「昭和の銀次」を歌いました。でも、いちばん心に残ったのは「労務者とはいえ」という曲でした。ボブ・ディランが歌った古い歌ですが、さっきの「腰まで泥まみれ」のように、2009年でも色あせていないのが悲しいですね。
YouTube - 昭和の銀次 / なぎら健壱

次は五つの赤い風船の予定でしたが、順番が変わって、先に加川良さんが出てきました。
最初に歌ったのは、風船の西岡さんが作った「こがらし・えれじぃ」。「戦争しましょう」では、歌い終えた後に「戦争はいけません」と良さん。もしかしたら、そうやって言わないと本気にしてしまう人がいるのかもしれませんね。代表曲「教訓I」を歌った後は、高田渡さんの「生活の柄」を、良さんをジャンボリーのステージに立たせた渡さんと岩井宏さんに捧げました。
YouTube - 加川良 / 教訓I

五つの赤い風船も、生で見るのは初めてでした。10年以上前に西岡たかしさんのステージは見たことがあるのですが、当時は風船が再結成する前でした。この日は風船として、昼にも出演した青木まり子さん、アーリータイムスストリングスバンドで何度も出演した竹田裕美子さん、オリジナルメンバーの中川イサトさんがいます。
「血まみれの鳩」では、西岡さんのアルトリコーダーを見ることができて感激でした。最後はもちろん「遠い世界に」。いつものように、西岡さんが歌詞を先読みして、客席全員で大合唱。40年前と同じ光景です。

そして遠藤賢司さん。ニューアルバムの新曲の後は、かつてのジャンボリーでも歌った「夜汽車のブルース」「カレーライス」を熱演。ギターの表面がえぐれているのはエンケンさんだけです。
ジャンボリーで歌うミュージシャンたち。それを支えるスタッフの人たち。「ちゃんとやっている人」を讃えるエンケンさん。毎日を真剣に生きているとはいいがたい自分自身を振り返り、恥ずかしくなってしまう。僕もちゃんと生きよう。エンケンさんのようにはなれないけど。
「夢よ叫べ」を歌い終えた後、客席に降りてきたエンケンさん。僕の目の前で仁王立ちするエンケンさん。かっこいい。
YouTube - 夢よ叫べ / 遠藤賢司

時刻は夜9時。ずっと止んでいた雨が、また激しく降り出しました。
最後は地元のバンドが1曲ずつ歌い、トリは笠木透さん。最後はみんなで、高田渡さんの「生活の柄」を歌って大団円となりました。

僕にとっては、歴史上のできごとでしかなかったフォークジャンボリー。
伝説のミュージシャンとともに、歴史の地に立てたことが何よりの喜びです。

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