こいのうた

2006年4月21日(金) 03:14 | 音楽

「ふーん、ふんふんふーんふーん…」
その女の子はハミングで、たったワンフレーズでしたが、しかしはっきりと歌いました。
GO!GO!7188の「こいのうた」という曲です。


「メール、捨てられないんだよね」
「別れたの、1年前でしょ」
「なんか忘れられなくてさ」

きのうの夜、帰りの中央線青梅特快。僕のそばで、ふたりの若い女の子が会話をしていました。

「ごめんね、暗い話しちゃって」
「いいよそんなの」
「うん…でも気分悪くさせちゃったよね。ごめんね」

なんていうか自意識過剰。でも10代なんてみんなそうです。僕もそうでした。

「でも、友達ができてよかったー」
「まわりがみんな内部の子だったとき、どうしようかと思った」

この春、大学に進学したようです。
どうやら、大半が内部、つまり高校からエスカレーターで進学した人で占めるような大学でしょうか。一般受験で入学した人にとっては、最初は肩身の狭い思いをしなければならないのかもしれません。
どうして夜11時近くになって、女の子ふたりが電車の中でこんな会話をしていたのかは知りませんが、おたがいずっと励まし合っていました。

そのうちのひとりから、ふと漏れたハミングが「こいのうた」でした。


今から2年半くらい前だったと思います。当時、僕は風俗誌の記者という仕事をしていました。
その日は、取材のためデリヘル(出張型風俗)の事務所へ行きました。
取材相手となる女性のほかに、仕事のために事務所で待機している女性がひとり、化粧を直していました。その鏡の裏側に、びっしりと文字が書いてありました。

 生きてゆく力が この手にあるうちは…

「こいのうた」の歌詞でした。
悲しいくらい前向きな、片思いの歌。
胸が締めつけられるような気持ちになったことを、今もはっきりと覚えています。

デリヘルの女の子も、誰か片思いの相手がいたのでしょうか。もしかしたらホストのお兄さんかもしれません。たとえそうだとしても、「好き」という気持ちを「こいのうた」の歌詞を介して心に刻み込むことで、ようやく心を壊さず生きていける。そんな悲しい現実を想像して、せつない気分になりました。


GO!GO!7188はもともと好きなバンドで、この曲も好きだったので以前から知っていたのですが、この曲には「片思いの相手からの着メロに設定すると、両思いになれる」というジンクスがあるらしいということは今日知りました。
終わった恋、実らない恋にすがりたくなる時期は、きっと誰にでもあるものです。それを乗り越えることで、みんな大人になっていくわけです。
そんなことを考える僕はもうすっかりオッサンです。そろそろ他人のことより自分のことを心配するべきですね。

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