本チャン

2006年2月 1日(水) 23:39 | 日記

先日、テープ起こしと呼ばれる仕事をしました。
「テープ起こし」というのは、インタビューなどを収録したテープを聞きながら、その内容を文字にすることです。
今回僕がテープ起こしをしたのは、某新聞社主催の、財界の偉い人や投資家たちによるシンポジウムです。
みんな難しい専門用語を連発するものだから、言葉を文字に直すのが大変でした。「なんとかキャピタル」だとか、かっこつけて英語の用語まで混ぜたりするからインテリは嫌です。
そんな中、ひとつだけ「おやっ」と思った発言がありました。

「…解説書みたいに、簡易版と本チャンを作る必要があるんですかね」

本チャン。
確かに「本チャン」って言ったよねえ?
いやまあ意味は分かるんだけどさ。
そもそも活字に乗せてもいい言葉なのか本チャン。

さっそくネットの辞書で調べてみたのですが、当然のことながらこんな言葉は載っていません。
次に、グーグルで検索します。すると、検索結果には「本チャン」という言葉を使った大量の例文(?)が。やはり普通に使われている言葉のようです。
さらに「本チャン」という言葉について調べてみると、「オトナ語」というキーワードに行き着きました。
オトナ語とは、人気サイト「ほぼ日刊イトイ新聞」で2年以上前に紹介された、サラリーマンなら誰でも普通に使ってる、でもよく考えると変な言葉。「なるべく早く」を「なるはや」と言ったり、「明日」のことを「みょうにち」と言ったり。「本チャン」もこうした言葉と同じく、オトナ語として紹介されていました。
本まで出版されるほど人気を博した「オトナ語」ですが、僕が今回「本チャン」という言葉を調べるまで、その存在を知りませんでした。

若者が仲間うちで話す時に使う奇妙な言葉と、大人が電話で取引先と話す時に駆使する奇妙な言葉と、属する社会が違うだけでその精神は同じです。オトナ語や若者言葉とは、社会という得体の知れない存在の中で、ある特殊な概念を共有することで得体の知れない連帯感を得るための、大いなる知恵の産物なのです。
「若者は言葉が乱れている」などと一喝できるような単純なものではないんですよ、きっと。

そういえばこの前、僕の会社の人も普通に「本チャン」という言葉を使っていました。25歳以上の人ならほぼ通じる言葉だと思うので、そろそろ広辞苑や大辞林に載ってもいいと思います。

ところで、シンポジウムにおいて「本チャン」という言葉は話の主題と関係ないところで出てきたため、実際の原稿では断腸の思いでカットさせていただきました。合掌。

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