菊地亜美というアイドルの才能とアイドリング!!!14thライブ夜公演

2014年12月 3日(水) 23:14 | アイドル

菊地亜美
歌はあんまりうまくないし、ダンスもそれほどうまくない。
アイドルにしてはとびっきりかわいいというわけでもない。
笑いのセンスが高いわけでもない。
そのうえ、つらいことがあるとすぐ泣いてしまう繊細でネガティブな性格。
菊地亜美というアイドルのすごいところは、アイドルとしてはマイナスになるこれらの要素をすべて前向きなモチベーションに変えて、努力を続けられること。ほかのほとんどのアイドルが持っていない、特別な才能です。

これは簡単に真似できることではありません。たいていの人はどこかで妥協するか、挫折するかのどちらか。でも菊地さんは、唯一にして最大の才能である「前に出る力」を突破口にして、2011年秋に事務所のプッシュを得てからはまたたく間に地上波のバラエティ番組に出まくるようになりました。同じようにバラエティ番組に頻繁に出られるアイドルが、菊地さん以外は片手で数えられるくらいしかいないという現実が、菊地さんがいかに特別な存在であるかを物語っています。
14thライブ
2014年11月24日。東京・渋谷のNHKホールで、アイドリング!!!14thライブの夜公演として開催された菊地さんの卒業ライブ。昼公演ではずっと笑ってたメンバーが、ときおり涙をこらえながら、そして涙を流しながら歌っていました。
ここ半年くらいで仲良くなれたという、2年後輩で4つ年下の尾島さんがいちばん泣いてた。尾島さんは気を許した相手にはどこまでもやさしい人だから、その涙の意味を思ったら、自分も胸が熱くなりました。
尾島知佳
SMAPの27時間テレビと40分ノンストップメドレーに感化されて企画した、30時間生放送と50分メドレー。こんなふうに自らの卒業ライブをネタとして使えるのも、アイドルとしては王道ではない菊地さんだから。「お金を払って来てくれたファンのために、ライブには万全の体調でのぞむべき」という意見もありましたが、菊地さんは「バラエティアイドル菊地亜美」としての自我を貫くことを選びました。
疲れてないはずがないのに、菊地さんは生放送もメドレーも最後までやり切った。卒業ライブだから、普段はほとんどないソロパートもたくさんあったけど、「あみみってこんなに歌えるんだ」と驚くほどうまく歌えてた。
菊地さんがキーボードを演奏した「想いの詩」や、NEOに混じって歌った「mero mero」も、きっちりとリハーサルを積まないとできないこと。最後のライブに賭ける強い思いが伝わってきました。

ライブの最後で三宅さんが語っていたように、菊地さんはいつでも芸能界で成功することを考え、努力していました。「どうしたら番組に使ってもらえるのか」「どんなコメントがオンエアされるのか」を常に研究していました。
菊地さんのネガティブな性格は、裏を返せば「認められたい」という思いが人一倍強いということ。その性格が地道な努力を続けるモチベーションになった一方で、ほかのメンバーとの温度差が生じた原因にもなったように思います。

たぶんメンバーはみんな知っていました。菊地さんの「成功したい」という強烈な思いとそのための努力は、自分にはとても真似できないということを。だから菊地さんのことはみんなすごいとは思っていても、「あみみさんのようになりたい」とは思えなかった。
一方の菊地さんは、自身の特殊な才能を過小評価しているところがあったように思います。「自分はほかの子と比べて歌も下手だしそんなにかわいくない、でも努力でテレビに出られるようになった。だからみんなも努力すれば成功できるはず」という思いがあり、一方では自身のネガティブさゆえに、「努力で成功した自分」を目標としてくれない後輩たちに対していら立ちに似た感情もあったのかもしれません。
2013年夏にラジオ番組で高橋さんをディスって、「前に出る」という気持ちを前面に出しているところが菊地さんとオーバーラップするNEO期のメンバーを持ち上げたのは、そういう気持ちの表れだと個人的に理解しています。いくらテレビで活躍しても、繊細な性格は簡単には変えられません。
5期生
でもたぶん、菊地さん自身もいろんな経験を積み、いろんな人と触れ合う中で、「努力できる才能」が自分にだけ備わった特殊なものであることを徐々に実感したんだと思います。
ほかのアイドリング!!!のメンバーも、菊地さんとは別の方法でそれぞれの個性を発揮して、それぞれの方向に成長しています。これまで菊地さんはがむしゃらに努力してきたぶん「自分のやり方こそが絶対」という思いが強かったのが、タレントとして一定の成功をおさめてある程度心に余裕が出てきたのと、グループからの卒業を決めたことで、今まで見えなかったメンバーの魅力に対して客観的に向き合えるようになったのではないかと思います。
ライブの最後にメンバーから菊地さんへメッセージを送るときに、5期生の代表が高橋さんだったことで、過去のいきさつを知っているファンからは驚きの声が上がりました。この1年、ふたりの間で何があったかは、それぞれの言葉から想像するしかありませんが、菊地さんが人間的にひとまわり大きくなったことを感じた時間でした。

努力は誰にでもできるわけじゃないけれど、目に見える努力をした人だけが偉いわけでもない。特にアイドルという職業においては、生まれ持った容姿、最近では人柄までもが評価対象にされてしまう。そこを「繊細さとネガティブさを逆手に取った努力と研究、そして前に出る貪欲さ」で一点突破した菊地亜美というアイドルは、やっぱりほかのアイドルには簡単に真似できない、特別な才能を持つ存在だと思うわけです。
一方で、そうした「アイドルとしては王道といえないアプローチ」をも包括し、その魅力を最も有効な方法でテレビやライブで伝えられるアイドリング!!!という枠組み、そして菊地さんに負けないくらいどぎつい個性を持つメンバーの存在も、菊地さんにとっては間違いなく追い風になっていました。
2期生
菊地さんがアイドリング!!!を去って1週間以上が経ちます。その間にもアイドリング!!!は、次の新曲に向けた活動を展開しています。ファンにとっては、同期である2期生5人のチームワークとトーク力は頼もしいものの、ただひとり知名度が浸透していたメンバーが去り、グループの今後については自分も心配しています。
以前にこの日記で「アイドリング!!!の菊地亜美からの卒業」と書きましたが、いろんなアイドルがデビューして、CDの売り上げやライブの動員ではアイドリング!!!を追い越したグループもいる中で、個人的には「どんな場所でも必ず盛り上げるトーク力」「どんな話題でも拾い上げて笑いにつなげるチームワーク」という特殊能力は、菊地さんがいなくなった今でも抜きんでていると思っているので、そういうところにもっと光が当たるようになれば、未来は明るいと思います。
ティッシュ
余談ですが、夜公演が始まる前のNHKホールの外で、アイドリング!!!のファンに対してポケットティッシュを配っている女の子がいました。顔を見たら、なんとベイビーレイズの林愛夏さんでした。すぐそばにはりおトンこと渡邊璃生さんがいて、会場のいちばん近くでは高見さんが、ひときわ大きな声で通行人を呼びかけていました。大矢さんも傳谷さんもいました。
ベイビーレイズがデビューしたのは2012年。メンバー5人は菊地さんの事務所の後輩です。高見さんと大矢さんはアイドリング!!!の5期候補生でした。デビュー以来最大の目標にしてきた武道館でのワンマンライブがもうすぐ行われます。武道館を埋めるために、寒い中をティッシュ配りに励んでいました。
もしかしたらAKB1強になっていたかもしれない10年代のアイドルシーンに「いろんなタイプのアイドルがいる楽しさ」を教えてくれたのがアイドリング!!!であり、菊地さんでした。ベイビーレイズががんばっているのを見て、菊地さんがアイドリング!!!を飛び越えて、アイドル界全体にさまざまな影響を与えてきた足跡に、ファンとしてちょっと誇らしい気分になりました。

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